主食としては、
メソポタミアでは小麦より塩害に強いため、南部の
バビロニアで多く栽培された。
ヨーロッパでは粗く挽いた大麦を煮た
粥状のものが食べられていた。古代ローマでは粗挽きの大麦の粥は
プルスと呼ばれ、主食として重要なものであった。その後パンが普及し、15〜16世紀にかけて寒冷な地でも生産性が高く、茹でただけでも比較的美味な
ジャガイモが
アメリカ大陸からもたらされたため、現在では主として飼料用および醸造用の穀物とされるようになった。
カクテルの
マイタイに用いられる
オルジェーシロップや
スペイン語圏で人気のある飲料
オルチャータは、どちらも
ラテン語で「ホルデアタ」(hordeata、「オオムギから作られた」)と呼ばれるオオムギを原料とした飲料を祖先としている。
日本は
チベット文化圏と並んで大麦を主食穀物として多く利用する地域であった。しかし
明治時代までは今日のように、炊飯しやすい
押し麦にして
白米と混炊することは行われていなかった。
米や
雑穀と比べて煮えにくいため、挽き割り粥にするか、炊飯に先立ち、あらかじめ煮て冷まして一晩置く
えまし麦としてから、単独、あるいは米や雑穀と混炊して調理した。明治時代までは、えまし麦の茹で汁は、
砂糖を混ぜて
母乳の代用品として使われることもあった。近年までは
麦飯として米と混炊して特に農村部では重要な主食とされた。しかし農村部では白米の飯が祭礼に際しての特別なご馳走であったこと、都市部で白米の飯が普及したことなどから、麦飯は白米の飯に対して農村的な格の低い洗練されない食品とされた。そのため臭くて不味いとみなし、蔑んで貧民や囚人の食事と看做す者も少なくなかった(俗に言う「刑務所の臭い飯」の謂れである)。その一方で、白米の飯への憧れによって
脚気は近代の日本で国民病と呼ばれるまでに蔓延した。海軍ではこれへの対策としていち早く麦飯を導入して克服したが、白米にこだわった陸軍では日露戦争で著しい戦病死者を出すに至った。現在では精白技術の向上による食味の向上や、押し麦の普及による炊飯の容易化により、健康食として再び人気を博している。